茶葉
「アールグレイ」は茶香茶(フレーバードティー)に分類される紅茶で、
世界中で最も親しまれているフレーバードティーです。
アールグレイはとても便利な紅茶です。
ストレートティーでも、ミルクティーにしても楽しめる他、
アイスティーにも向いています。
カフェで提供されるアイスティーのほとんどが
アールグレイの茶葉を使って店で淹れたもの、
あるいはベルガモットの風味が付けられたリキッドタイプの市販品です。
また、ダージリンやアッサムなど、他の紅茶にアールグレイを少し加えると、
ベースの紅茶の味を底合うことなくバリエーションを付けることも出来ます。
優雅で華やかな香りの「日東紅茶のアールグレイ」。 香りの相性がよいキーマンとセイロンをブレンドして ベルガモットの香りが付けられています。 |
「アールグレイ」の発祥には諸説ありますが、
1820年代には既にベルガモットで着香された紅茶が流通していたようです。
それは、当時流通していた高価な紅茶
(「正山小種」(ラプサンスーチョン)の一つである「煙小種」か⁈)の
風味を真似た模倣品として作られたようです。
一般的に、「アールグレイの元祖」は、
ジャクソンズ・オブ・ピカデリー社かトワイニング社と言われています。
但し、2013年にジャクソンズ社はトワイニングの傘下となり、
ジャクソンズ社の秘伝のブレンドである、
「ベルガモットを使わないラプサンスーチョンタイプのアールグレイ」は
販売されなくなってしまいました。
「アールグレイ」は
「キームン紅茶をベースにするのが正統だ!」という主張がありますが、
キームン紅茶発祥前から「アールグレイ」は存在しており、
何よりもアールグレイの風味で決定的な役割を果たしているのは
ベルガモットの香りであることから、
ベースの紅茶が何であるかは、あまり重要な議論とは言えません。
紅茶の茶葉の種類も増え、
アールグレイの茶葉も、色々なものが使われるようになってきました。
茶葉が変われば、アールグレイの香りや味わいなどの特徴も変わることから、
各紅茶メーカーはオリジナルのアールグレイを売り出しています。
飲み比べをして、自分好みのアールグレイを探すのも楽しいですよね。
ベルガモットの紅茶が「アールグレイ」の名を冠するようになったのは、
1850年代と言われています。
1830年代のイギリス首相であったグレイ伯爵が、
Chinaから来た「龍眼」の木材で燻して香りをつけた紅茶をとても気に入り、
イギリスでも同じものを作れないかと茶商に相談しました。
しかし、「龍眼」はChinaや東南アジアで採れるライチのような果実で、
残念ながらヨーロッパでは手に入りません。
そこで、龍眼の代わりに使われたのが「ベルガモット」でした。
茶商はベルガモットの香りを紅茶に着けて、
グレイ伯爵の名をとって「アールグレイ」と名付けて紅茶を販売、
アールグレイは瞬く間に人気となりました。
アールグレイに用いられるフレーバー(香料)の「ベルガモット」は、
イタリアで高品質なものが多く作られており、
その果実は生食用ではなく、
エッセンシャルオイルとして扱われるケースが一般的です。
アールグレイの香りに使われる
「ベルガモット」
・学名:Citrus bergamia (Risso)
・英名:bergamot orange
・ミカン属ミカン科
世界の90%以上のベルガモットが
イタリア南西部、カラブリア州で生産されています。
特に、ブーツ型をしたイタリアの丁度先端部分に当たる、
「レッジョディ カラブリア」が有名な産地です。
ベルガモットは
スイートレモン(あるいはスイートライム)とオレンジを交配、
または、レモンとビターオレンジを交配して出来たとか、
言われています。
春には白い可憐な花を咲かせ、11~3月頃果実になります。
果実の形は球形、
球形から少し突起が出た洋ナシ型などが見られます。
ベルガモットは、生食用というより、
精油を採取することが目的で栽培されます。
約200kgのベルガモットから出来る
「ベルガモット精油」の量はたった1kgです。
アロマオイル、化粧品、香水などに多く用いられています。
ベルガモットも、他のミカン科の精油同様、
果皮の方が果肉よりも香りが強く出るようです。
ベルガモットオイルに含まれる
「ベルガプテン」という物質は
肌に付けて日光に晒されると
「色素沈着(シミ)」や「炎症」などの
皮膚トラブルが起こることが判明しています。
このベルガプテンを除去した
「ベルガプテンフリー」の精油も作られています。