紅茶
ダージリンの紅茶の生産量に対して10倍にも及ぶと言われていました。
87ある茶園が産する紅茶のみを指すのですが、
その国際的な評価が高いために、流通の過程で隣接するネパールなどの地域の紅茶が、
いつの間にかダージリンと称されて取り扱われるような事態が横行していたのです。
このような行為は、生産者と消費者の両方にとって不利益を与えるものです。
しかし、消費者には、パッケージにダージリンと表示されていながら
中身が違う紅茶を自力で判断する術を持っていないでしょうし、
生産者も自助努力でこうした動きを排除することも出来ません。
こうした背景から、1986年からインド政府主導で、
模倣品と差別化を図るようになりました。
TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)が締結され、
地理的表示の保護が国際的に求められるようになると、
最も保護の必要性の高かったダージリンのみならず、
徐々に多くの産地で地理的表示が整備されるようになりました。
「地理的表示(GI:Geographical Indication)保護」は
「その土地の特徴を生かして作られたものを知的財産として保護するための
認定制度」ということ。
仏シャンパーニュ地方で作られた発泡性ワインのみということです。
日本でも平成27年6月1日より地理的表示(GI)保護制度が施行されています。
現在では、インドやスリランカの多くの産地が地理的表示によって保護されるようになり、不正な製品の排除は大分進んでいます。
但し、地理的表示自体は強制力がある訳ではなく、
その産地の純正の紅茶であっても、
流通の過程で地理的表示をせずに包装されることも多くあります。
しばしばありましたが、
近年では、インドのティーボード(政府紅茶局)などの尽力により、
そうしたケースは大分少なくなっています。