優しいのみもの

「優しい」・・って、私基準です。

ダージリン

紅茶の産地 

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「紅茶界のシャンパン」とも称されるダージリンティー
東インド西ベンガル州ダージリン地区にある87の茶園から採れたお茶です。
 
作付面積は約1万7800ha。日本の利尻島が約1万8200haですから、
世界一有名な紅茶は以外にも小さなエリアで作られています。
 
年間の生産量は約8700t(2015年)。
全インド年間生産量約120万tの1%にも満たない量なのですが、
不思議なことに、世界には実際に作られている以上にダージリンが流通していると
言われています。
 
ダージリンは標高500mから2000mと、標高の高いヒマラヤ山麓の産地で
生産されています。
気候は一般的に冷涼ですが、昼夜の寒暖差が大きく、
晴れては霧が掛かり、日が差しては小雨が降る気まぐれな山の天気は、
「香りの紅茶・ダージリン」を作る上で欠かせないものとされています。
 
標高の低いエリアでは暑さに耐性のあるアッサム種系の茶樹が植えられ、
標高が高くにあるにつれて寒さに耐性のある中国種系の茶樹が多くなります。
茶樹は交配が進みやすく、系統間での交雑も多く見られ、
アッサム種の傾向が強いものを「アッサムハイブリッド」、
中国種の傾向が強いものを「チャイナハイブリッド」と呼びます。
クローンも使用されており、多くの場合、クローンから作られる紅茶には
「CL」とか「Clonal」というマークが付きます。
 
 

歴史

1835年、英・東インド会社が療養所や避暑地の開発を目的の一つとして、ダージリンをシッキム国から譲り受けたことに端を発します。
茶栽培の可能性に興味を持ち、ダージリンの自宅の庭に実験的にチャノキを植えたことでも知られるキャンベル博士のもと、ダージリン地区は整備されて経済的にも発展し、ネパール、シッキム、ブータンから大量の人々が流入し、これらの人々が同地の茶産業を支える労働力になりました。
 

ダージリンのクオリティーシーズン

❶ ファーストフラッシュ (3月~4月頃)
3月初め頃から気温の高まりと春の雨に呼び起こされるかのように、茶樹は芽吹き始めます。この春先に芽吹いた茶葉を摘んで作られるのが「ファーストフラッシュ」です。
どれだけ早くファーストフラッシュを市場に出すことが出来るかが取引価格に大きく影響されるため、この時期の茶園の人々は時間との勝負をしているかのようです。
ファーストフラッシュは、概して水色は淡く、黄色よりの色合いです。
そして、春に相応しい、緑がかった清涼な香りの紅茶が作られます。
 
❷ セカンドフラッシュ  (5月~6月頃)
ファーストフラッシュの後、「バンジー」と呼ばれる茶樹に新芽が出来ない時期を経て、5月頃から再び新芽が芽吹き始めます。
この時期が「セカンドフラッシュ」です。
セカンドフラッシュは、ファーストフラッシュとは打って変わって、
水色は琥珀色になり、味わいに厚みとコクが加わり、
香りは熟した果実や芳醇な花を思わせる「マスカテルフレーバー」とか
「マスカットフレーバー」と呼ばれる紅茶です。
 
❸ オータムナル(10~11月頃)
ダージリン地区は、セカンドフラッシュの後にはモンスーンが到来し、2か月以上に渡って沢山の雨が降ります。9月末には雨量も減り、10月~11月頃までの間、1年で三番目にして最後のクオリティーシーズン「オータムナル」の時期を迎えます。
セカンドフラッシュをより柔らかくしたような、穏やかで優しい香りの紅茶が多く、
価格も3つのクオリティーシーズンの中では比較的お手頃です。