Camellia sinensis
茶の原料となる「チャ」は、
「チャノキ」と呼ばれるツバキ科の多年性植物で、
学名を「カメリアシネンシス」(Camellia sinensis)と言い、
国際的には「Camellia sinensis (L.) O.Kuntze」と
表記されています。
ISO規格などでは、
「茶はカメリカ・シネンシスからつくられるもの」と
定義されています。
「Camellia」は属名、「sinensis」は種小名、
「O.Kuntze」は
1887年に現在の学名「Camellia sinensis」を命名した
ドイツの植物学者クンツの名前を指しています。
クンツが命名するまでは、
「紅茶を作る木」と「緑茶を作る木」は
別種だと考えられていました。
「紅茶を作る木」は樹高が高く、葉が大きいのに対し、
「緑茶を作る木は」明らかに小ぶりで葉が小さいといった
差異があったからです。
現在では、
葉が小さい潅木で寒さに強く、主に緑茶の原料になるものを
「中国種」(Camellia sinensis va. sinensis)
大きい喬木で寒さに弱く、主に紅茶の原料となるものを
「アッサム種」(Camellia sinensis va. assamica)、
両種の間で雑種を作りやすい中間型を
「アッサム雑種」(Assam Hybrid)と呼んでいます。
日本で栽培されているチャのほとんどは「中国種」です。
そしてこのチャの木から摘んだ葉を
発酵させる工程の違いによって、
「緑茶」、「ウーロン茶」、「紅茶」と、
見た目や味わいの違う3種類のお茶に作り分けられます。
緑茶、ウーロン茶、紅茶の大きな違いは、
摘んだ葉を発酵(酸化)させるかどうか。
十分に発酵させたものが「紅茶」、
発酵させないで加工したものが「緑茶」に、
その中間の状態の茶葉から作られるのが「ウーロン茶」に
なります。
中国種
樹高の低い灌木型で、葉の長さも5cm程度と短く、
寒さに比較的強いと言われ、
東アジアで広く栽培されています。
日本に分布する「チャノキ」は、
品種によってはアッサム種などと交配しているものもありますが、
ほとんどが中国種に属するものです。
今から約2000年前の三国時代かその少し前の時代に、
現在のミャンマーやChina雲南省辺りから、
四川省を経由して広まったと言われています。
アッサム種
樹高の高い喬木型で、葉の長さも15cmを超えます。
耐寒性は低いため、
日本では純粋なアッサム種は栽培されておらず、
主にインドやスリランカ、インドネシア、ケニアなどの
熱帯地域で栽培されています。
アッサム種は、1823年に英国人のロバート・ブルースが
野生のアッサム種の茶樹から葉を利用していた部族と出会い、
その部族の族長から種と苗を提供してもらったことが
きっかけで広まりました。
アッサム種の発見は、
それまでほぼChinaで独占的に行われていた紅茶の生産が、
世界各地に広がるようになるきっかけの一つでもあり、
歴史定な出来事でした。
類似の種
中国腫やアッサム種の間には、類似の種として
「中国大葉種」「シャン種・ビルマ種」「カンボジア種」
などがあります。
中国種(緑茶向き) | アッサム種(紅茶向き) | |
木 | 潅木型、地上ですぐ枝分かれ 2~3m |
喬木型、直立 10m超もある |
50年(インド・スリランカでは 80~100年を越えるものも多い) |
30~40年 | |
葉のサイズ | 小さい(9×3cm以下) | 大きい(12×4cm以上) |
葉の形 | 短楕円・尖っているものなど様々、 表面平滑 |
長く先端が尖っている、 表面にしわ |
葉肉 | 薄く硬い(繊維質) | 軟らかく厚い |
未開葉 | 赤色を帯びることがある | 淡緑が多い |
成育条件 | 熱帯性、寒さに弱い、高温多湿 | 熱帯性、寒さに弱い、高温多湿 |
主要栽培国 | 中国・日本・トルコ・南米・イラン・ インドやスリランカの高地の寒冷地など |
インド・スリランカ・インドネシア・ アフリカ諸国など |
タンニン量 | アッサム種より少ない | 多い |
酸化酵素の活性 | アッサム種より弱い | 非常に強く、発酵しやすい |
香り・味 | 水色は弱い、デリケートな香味 | 香り高く、味濃厚 |