日本茶
「荒茶」を更に乾燥させ、形を整え、精製するのが
「仕上げ工程」です。
「仕上げ工程」を経たお茶を「仕上げ茶」と言います。
「仕上げ茶」は、「荒茶」がもつ味わい、香り、色などが
更に研ぎ澄まされ、使い勝手がよく、保存しやすくなっているのが
特徴です。
仕上げ加工
「仕上げ加工」は、
荒茶を仕入れた製茶問屋、
荒茶工場に併設された仕上げ工場などが行っており、
全国で約1300工場、そのうち静岡県には400工場あります。
仕入れた「荒茶」は、大きなお茶の倉庫に保管し、
美味しさや鮮度を保つように温度などを厳重に管理しています。
そして、必要に応じて取り出し、「仕上げ加工」を行います。
[煎茶の仕上げ茶加工工程]
1.篩い分け
太さを揃える「平行篩い」や「振動篩い」、
粉を除去し、長さを揃える「廻し篩い」があります。
総合仕上機は、これらの篩いと切断機を組み合わせて、
連続的に茶の形を揃える機械です。
2.火入れ
荒茶を乾燥し、貯蔵性を高め、
「火入れ香」という特有な芳香を生成させて
香味の向上を図るために行います。
「狭山茶」は、火入れによって生まれる香りである
「火香」(ひか)に特徴があります。
3.選別
茶に混入している木茎を除去するために行います。
「静電式」という方法を使って、
茶葉を高圧電場中に通して、茶葉と茎をする選別機は
業界で広く使われています。
4.合組
仕上げ加工した茶の特質を生かして、
消費者の嗜好や価格に適するよう取り合わせることを
「ブレンド」と言います。
仕分けた物は、大きく、
煎茶などの主体になる「本茶」と
それ以外の「出物」の2種類あります。
「本茶」になれなかった「出物」も、
形状や部位に応じて、
「茎茶」「粉茶」「ティーバッグ原料」など、
別の用途が用意されています。
<荒茶からつくられる仕上げ茶と二次利用品>
🍵 煎茶
- 煎茶の荒茶 ・・・煎茶の仕上げ茶
- 出物 ・・・番茶・粉茶・茎茶
- 出物を再加工・・・ほうじ茶・玄米茶 など
- 出物の粉部分・・・ティーバッグの中身、インスタントティー、
カフェインやカテキンなどの
成分抽出するための原料など
🍵 玉露
「玉露の仕上げ茶」と「雁が音」など
🍵 碾茶
碾茶の荒茶は、篩いにかけて葉肉の柔らかいところだけを
「抹茶」に使います。
仕上げ工程を経た碾茶は「仕立茶」とも呼ばれています。
抹茶は吸湿しやすく保存が難しいので、
仕立茶で冷蔵保存しておき、
必要に応じて、石臼で挽いて抹茶にします。
抹茶は、点てていただくだけでなく、
最近は加工食品への利用も増えています。
5.包装
仕上げ茶を計量し、袋や茶箱などに詰めて、
消費者に販売したり、小売店へ卸します。
包装材や包装方法は、お茶の品質に影響する
「酸素」、「臭い」、「光」などを
遮るように工夫されています。
一般消費者向けには、
プラスチックフィルム、ラミネートフィルムなどで作られた袋が
よく使われます。
袋の中の空気を抜いたり、窒素ガスを注入したり、
脱酸素剤を入れたりしているのも、
お茶の品質・鮮度維持への配慮によるものです。
<参考> 荒茶