優しいのみもの

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紅茶を更に美味しく「砂糖」

紅茶(砂糖)

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紅茶と砂糖の組み合わせは、17世紀のイギリスで生まれました。
舶来品で貴重品であった「お茶」と、
同様に希少品であった「砂糖」を組み合わせて飲むことが
上流階級の贅沢でした。
特に希少であった「中国産の紅茶」に
「西インド諸島産の砂糖」を入れて飲むことが、
ステータスシンボルであったそうです。
 

 
当時、砂糖は高価でしたので、一般の食材とは分けられ、
銀器や食器、茶と一緒に鍵のかかる別室に保管されました。
そこまで大きくない館の場合でも、
砂糖は一緒に提供される茶とともに
「キャディボックス」と呼ばれる
鍵付きの箱の中で保管されることもありました。
 

 
お客さまが来ると、
砂糖はシュガーボウルに盛り付けられ、客室に運ばれました。
高価な輸入品である砂糖がティーテーブルにあることを誇示するために、
シュガーボウルには敢えて蓋がされないことも多くありました。
お客さまは、女主人に砂糖の量を聞かれたら、
自らの好みを伝え、ティーボウルの中に砂糖を入れてもらいます。
高価な砂糖をサービスするのは一家の女主人とされました。
 

 
当時、砂糖の原料は「サトウキビ」しか知られていませんでした。
しかし19世紀に入ると、
それ以外の原料(甜菜糖、ビート、さとう大根など)からも
砂糖が出来ることが発見されたことから
砂糖の大量生産が可能になったことから、
一般庶民にも広がっていきました。
 

 
「甜菜糖」での砂糖栽培にいち早く興味を持ったのは、
フランス皇帝ナポレオンです。
西洋の他の諸国やアメリカなども、
競って甜菜糖の品種改良や栽培を始めたことから、
19世紀末には、生産される砂糖の原料の7割は
「甜菜糖」となりました。
  

 
砂糖が飽和している現在、
砂糖を特別なものと見做して紅茶と合わせる方は少ないと思いますが、
紅茶と砂糖の相性を知ることは、
砂糖を原料にしている茶菓子とのペアリングの向上にも繋がりますので、
各砂糖の特徴を掴んで楽しんでみて下さい。
 
 

 
 

砂糖の種類

 
 
グラニュー糖

 
紅茶と最も相性の良い砂糖です。
「グラニュー糖」は「ショ糖」の純水結晶で
純度が99.8%以上とかなり高純度でサラサラしています。
紅茶の水色を鮮やかにし、クセがなく淡白で、
程良い甘みによってカテキンなどの渋みを抑制する効果もあります。
香りを楽しむ「ストレートティー」に最適です。
どんな茶葉とも非常に相性の良い砂糖のため、
ティールームなどでもサービスされます。
 
 
上白糖

 
日本の最も一般的な砂糖が「上白糖」です。
シットリとソフトな味わいが特徴です。
グラニュー糖と比較すると少し癖があり、
甘味が強く、紅茶に入れると切れ味が悪く、水色も濁ります。
コク、甘味のある
「アッサム」や「キャンディ」のような茶葉との相性は抜群です。
 
 
黒糖

 
「黒糖」は「サトウキビ」の搾り汁を
そのまま煮詰めて固めた黒褐色の含蜜糖で、
濃厚な甘さと風味があります。
ショ糖の純度が75%程ですので、
他の砂糖よりも甘味は控えめに感じられます。
水色が黒ずむため、
ミルクティー向きの茶葉に合わせることをおススメします。
香りを大切にする茶葉には向いていません。
 
 
三温糖

 
「三温糖」は、結晶を取り除いた糖蜜を数回加熱したものです。
薄茶色の小さな結晶で、濃厚な甘さとカラメルに近い風味があります。
繊細な紅茶に入れると「三温糖」の風味の方が際立ちますが、
コクのある紅茶を楽しみたい時にはおススメです。
 
 
和三盆

 
「和三盆」は、日本の伝統的な製法で作る淡黄色の砂糖です。
結晶の大きさが非常に細かく、繊細な風味を持つので、
和菓子の原料として珍重されます。
サラリとした上品な甘さが特徴です。
「ダージリン」、「ヌワラエリヤ」などの
緑茶に近い風味を持つ紅茶に合わせると香りが引き立ちます。
 
 
パームシュガー

 
「パームシュガー」は、
ヤシ科の「砂糖ヤシ」の樹液を煮詰めて作ります。
東南アジアで作られています
ほのかかな甘みが感じられ、
ミルクティーに入れるとよりコクが出て楽しめます。
紅茶の生産国インドネシアやマレーシアでも多く楽しまれています。
 
 
メイプルシュガー

 
メイプルシュガーは、「サトウカエデ」の樹液を集め、
約40分の1になるまで煮詰めて作った
「メイプルシロップ」の水分を飛ばして粉末状にしたものです。
 

 
香ばしく強い風味がありますので、
「アッサム」や「ルフナ」など、ミルクティーにおススメです。