優しいのみもの

「優しい」・・って、私基準です。

ニルギリ

紅茶の産地 

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南インドにはケララ州やカルナータカ州、タミルナードゥ州に
茶の産地がいくつかありますが、
特に高名なのが、タミルナードゥ州ニルギリ地区が「ニルギリ」の産地です。
 
 
「ニルギリ」は現地の言葉で「青い山」という意味です。
ニルギリの山々にく生えている木の葉っぱの裏側が青いので、
風に揺られるとその青さが際立つことから、そう呼ばれているそうです。
豊かな自然が評価され世界遺産にも登録された西ガーツ山脈・南部地域が産地で、
最も高い所では海抜2400mにも及び、30強のプランテーション方式の茶園と、
その他に多数の小規模農家や製茶工場で構成されているのが特徴です。
比較的標高の高い場所では中国種系、低い場所ではアッサム種系の茶樹が
植えられており、その他にクローンも多用されています。
 
自然豊かなニルギリでは紅茶の他にも、
カルダモンなどのスパイスや野菜の栽培も盛んで、特に人参が有名です。
その他、19世紀に薪にする目的で移植されたと言われるユーカリから採取した精油
同地の特産品の一つです。
 
 
ニルギリでの商業茶園の始まりは19世紀中頃になります。
以前より行われてきたコーヒー栽培が「さび病」の打撃を受け、
茶園への転換が図られたことも作業の拡大を推し進めました。
地理的に近い隣国スリランカとは
昔から作業関係者の行き来があり、浅からぬ結び付きがあります。
ニルギリの茶畑には、
一定の高さ以上で摘採するための目印となる棒が置かれていますが、
これはスリランカでも見かけられる風景ではありますが、
北インドの産地ではあまり見かけられません。
またニルギリでは、スリランカのTRI(Tea Research Institute/作業研究所)で
育成された品種もいくつか使用されています。
 
 
一年を通じて比較的温暖で、年2回の雨季により雨にも恵まれたニルギリでは、
一年中紅茶が生産されており、
冬は生産しない北東インドダージリンやアッサムとは対照的です。
特に品質が上がるクオリティーシーズンは、
雨が少なく寒暖差が大きい冬の間の12から2月頃です。
生産量が多いのは5月から6月頃と9月から10月頃です。
 
ニルギリはクセがなく、その分大人しいイメージもありましたが、
近年は意匠を凝らした個性豊かなスペシャリティー・ティーも見かけるようになり、
注目の産地になっています。