日本茶
お茶の製造は
「荒茶加工」と「仕上加工」に分かれており、
畑で摘まれた茶葉は、まず「荒茶加工」を行います。
茶葉は摘採直後から酸化酵素の働きによって発酵が始まります。
日本茶の場合、可能な限り新鮮な状態で
蒸す、炒るなどの熱処理をすることによって
酸化酵素の活性を止め、葉の形状を整え、水分をある程度まで下げ、
保存に耐えられる乾物状態にします。
この乾物状態を「荒茶」と言い、
生葉から荒茶に仕上げる工程を「荒茶製造(加工)」と呼びます。
「荒茶」は形状が不揃いで水分含有量も多く、
家庭での保存には適していません。
また、香味のバランスもとれていないため、
商工業者が消費地への出荷直前に「仕上げ(再製)」加工を行います。
茶畑で摘まれた生の茶葉は、
鮮度が落ちないその日のうちに加工場に運び、
「荒茶」に加工されます。
お茶の「味」「水色」「香り」は、
ほぼこの「荒茶加工」で決まってしまいます。
荒茶の加工は、
加工場を持つ個人の茶農家や複数の茶農家が共同で持つ加工場で
加工されます。
摘み取った茶葉は新鮮なうちに、おおよそ6時間程度かけて
荒茶に加工されます。
[煎茶の荒茶加工工程]
1.搬入
生葉の受け入れ・コンテナ 荒茶工場の入り口です。
重量と品質を確認して生葉用のコンテナへ移します。
2.蒸熱(蒸し)
摘み取った生葉はその日のうちに高温の蒸気で蒸します。
蒸すことで、茶葉の青臭みを取り除き、酸化酵素の働きを止めて
茶葉の変色を防ぎます。
この蒸す工程はお茶の味、水色、香りも決める大切な工程です。
ここでは茶葉の温度が100℃近くまで上がります。
蒸す時間は、
「浅蒸し」で20~50秒、「深蒸し」で60~120秒など、
お茶の種類によって異なります。
3.冷却(冷却機)
蒸した葉を冷まし、表面の水分を取ります。
葉の温度が34~36℃ぐらいに下がり、変色も防ぎます。
この後、中揉の工程まで茶葉の温度は人肌です。
4.粗揉
温風(95℃・40分)を当てながら茶葉を揉み、
水分を飛ばしていきます。
筒状の粗揉機の中で、
手を広げたような形のフォークと波型の内壁を使い、
茶葉を軽く揉みます。
5.揉捻(揉捻機)
葉に力を加えながら揉み、葉や茎などの水分を均一にします
(常温・25~50分)。
ここでは、揉む工程の中で唯一、熱を加えずに行います。
渦巻模様の台の上を、お椀を伏せたような機械がまわるうちに、
葉に「撚れ」がつき始めます。
6.中揉(中揉機)
熱風を当てながら葉を揉み、乾かします
(排気温度36℃・35分)。
葉は更に揉み込まれ、撚れがはっきりしてきます。
この段階で、重さや水分は生葉の3分の1程にまで減ります。
7.精揉(精揉機)
熱した板の上で、葉に力を加えながら往復運動をし、
形を整えつつ乾燥します(100℃・50分)。
茶葉は針のように細く締まった形で乾燥し、固くなります。
上質なお茶は、この段階で濃く、ツヤのある色をしています。
8. 乾燥(乾燥機)
保存に適した水分になるよう、熱風で十分乾かします
(90℃・25分)。
重さは生葉の23%程度、水分5%前後の、
すらっとした茶葉となります。
9.合組(ごうぐみ)・包装
出来上がった荒茶を大きなタンクのような合組機に入れて、
均一になるように混ぜ合わせます。
出来上がった茶葉は、
「大海」(だいかい)と呼ばれる大きな袋に入れられ、出荷を待ちます。
<参考> 仕上げ茶